研修レポート 基礎研修「アルコール関連問題とアディクション」

令和5824日(木)、医療ソーシャルワーク基礎研修「アルコール関連問題とアディクション」と題して、国立病院機構花巻病院ソーシャルワーカーの浅沼充志様よりご講義いただきました。

 皆さんは日ごろお酒を飲む機会がありますか?1週間頑張ったご褒美に1杯、大変なケースが一段落したからいつもより良いお酒を等、それぞれいろんな理由でお酒を飲まれているのではないでしょうか。程よい飲酒は気分転換になりますが、実はアルコールは覚醒剤などの薬物よりも依存を形成しやすい薬物なんだとか。加えてアルコールは安く、手軽に購入できるため、やめようと思っていてもなかなか難しいですよね。

 アルコール依存症は飲酒しない生活を続けることが治療となり、回復につながるそうです。受診していても、断酒を継続しないといけません。アルコールの手軽さや依存度の高さから、本人だけで断酒を続けるのは難しく、他者の介入が必要になります。花巻病院では「アルコール依存症治療プログラム(ARP)」という治療を導入しているそうです。お酒をやめさせるのではなく、患者とお酒との関係を分析させるのを目的とし、病気への正しい理解・他者の体験を聞くこと・自分の体験を話すことにより、お酒との付き合いをどうするか自分自身に問いかける内容です。自助グループもですが、支えとなるのは同じような体験をした他者との関わりが大きいと感じました。MSWがアルコール依存症の患者さんに対するアプローチの1つとして、他者とのつながりを構築し、それを途絶えさせないように関係者や支援者との協働することだなと再認識できました。今や自助グループはオンラインでもあるみたいです。患者さん1人1人に合った支援方法を提案できるよう、日々情報収集していきたいです。

 ちなみに、毎日飲まないと物足りないと感じるのは、精神依存の形成であり、アルコール依存症の進行過程の一歩目だそうですよ。お酒の飲みすぎには気を付けましょう。

文責 広報部会 工藤

 

研修レポート 一般研修Ⅰ「医療における『家族』の理解」

伊藤隆博先生(岩手県立大学 社会福祉学部 准教授)からの今回の講義は個人的にとても楽しみにしていました。残念ながらリアルタイムでは参加できませんでしたが、「家族」に対する理解がとても深まったと思います。

 

日本では、家族形態の変化の常套句として、「核家族」という表現が使用されて久しいと思います。大都市への人口流出が進み、3世代で暮らす家族形態が減少して、「夫婦とその未婚の子どもからなる家族」である核家族化が進んできました。地方都市で医療ソーシャルワーカーという職種に就いていると、親は高齢で地方に2人暮らしをしており、その長男、長女は大都市に暮らしているというケースを担当することも多いと思います。業務の中で退院支援をしている医療ソーシャルワーカーにとって、「家族」をどのように理解して、焦点を当てていくかは、避けては通れない課題です。

 

今回の講義では、家族を理解するために必要な視点&知識として、社会学的理解、法律学的・制度的理解、家族心理学的理解と3つの視点から「家族」に焦点を当てていました。時代の潮流とともに変化している「家族」を立体的、多角的に理解することが出来たと思います。

私としては、家族心理学的な理解の中で、「家族を発達段階にある存在として理解する」=「家族のライフサイクルを意識する」という視点が非常にしっくりときました。ソーシャルワーカーのアセスメントには、「現在の生活課題が将来的にどのように本人や家族に影響するか?」という大切な視点があります。一歩先の情報を提供&共有することが、退院支援、受診・受療の援助等でとても大切になることがあります。短期的&長期的視点に立って、「患者」、「家族」を俯瞰的視点で見ることができて、支援にまで繋げる事ができるのが、医療ソーシャルワーカーなのだとあらためて感じました。

 

 

 ところで、今回は「オンデマンド」=「見逃し配信」で初めて講義に参加しましたが、とっても便利です。講義の中の演習、グループワーク等にはもちろん参加できませんが、「どうしても予定が合わずに参加できない」、「子育てが佳境で時間を取ることができない」等の会員さんにとってはとても良いシステムだと思います。まさしく、オンデマンドで空いている時間を活用して、自己研鑽をする事が出来ます。皆さんもぜひ活用してみてはいかがでしょうか?

 

文責 広報部会長 佐々木 章

研修レポート 一般研修Ⅰ 「身元保証人問題とソーシャルワーク」

 令和5年8月5日(土)午後、日本福祉大学社会福祉学部 林佑介准教授を講師としてお招きし、対面+Zoomを使用したオンライン方式(オンデマンドで視聴可)で開催されました。対面方式も取り入れた研修会はとても久しぶりです!参加者はMSWのみならず学生、公務員など県内外から多くの皆さまにご参加いただきました。

 研修会は三部構成となっており、第一部は林先生による「身元保証人問題の現状と課題」に関するご講演、第二部は、当協会が行った「身元保証のない方の支援体制の実情に関する調査結果報告」、第三部は県内MSWの実践報告「リレーケース報告~急性期病院から回復期・療養病院への転院事例~」、「地域で取り組む身元保証人問題~在宅きたかみの実践報告~」という、非常にボリューム、内容ともに充実した研修会でした。

 第一部では、そもそも保証人問題への対応が求められてきた背景、実態調査の報告、全国の動向、現時点での到達点についてご講演いただきました。厚生労働省や他県の医療ソーシャルワーカー協会が行っている取り組み事例も交えお話をいただき、今後のネットワークづくりにMSWがどの程度関わっていくことができるかがカギとなるとお話をいただきました。

 第二部では、当協会が岩手県内の医療機関・老健を対象に実施したアンケート結果に基づき調査研究部会が分析を行った中で、「共通する多くの課題があるにも関わらず、有機的な連携・情報共有につながらず、各医療機関が個々に苦慮している現実がある」ことが浮き彫りとなった非常に興味深い報告でした。林先生より、メディアを活用し情報発信を!と後押しをいただき、当協会としてもアンケート結果の活用を検討中です。ご期待ください!

 第三部では、「リレーケース報告」として保証人問題を有した1事例を取り上げ、急性期病院から回復期・療養病院へのMSW同士のバトンがどのように渡されたのか実践報告がありました。本人への関わりのみならず、関係性の希薄な親族や知人・近隣住民へと、ときに交渉・駆け引きも含めたMSWの働きかけに、誰もが「わかる、わかる~!」と頷いてしまうような報告でした。「地域で取り組む保証人問題」は北上済生会病院MSW菊池涼子さんに、岩手県北上市で粉骨砕身しつくりあげてきたネットワークとその実践をお話いただきました。医療・福祉関係機関のみならず警察・消防、そして司法関係団体と協働した取り組みは、林先生からもまさに「他職種連携のゴールのイメージ」とご講評いただきました。

 ここから岩手県MSW協会の保証人問題へのアプローチが加速していくことでしょう。今後の取り組みにとても期待感が高まる研修会となりました。今年度末までオンデマンド配信で視聴可能です!ぜひご視聴ください!

 

文責 広報部会 玉山